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不動産トレンド 家賃保証会社について

144★☆《家賃保証会社について》★☆

REITOメルマガ第95号より

 

 

 

 

先ごろ一般財団法人不動産適正取引推進機構の研究会が公益財団法人日本賃貸住宅管理協会総合研究所の方々をお招きし、2013年度下半期の賃貸住宅市場景況感調査結果(「日管協短観」)などについてお話をお聞きしました。

この協会は、賃貸住宅における健全かつ専門的な運営、管理業務の確立と普及を通じて賃貸住宅市場の整備、発展を図ることを目的として2001年に設立され、会員は1190社(H25.3月現在)、会員の総管理受託戸数は約450万戸を数えています。

管理会社は賃貸住宅の仲介業務を行っている場合が多いため、管理会社にアンケートした同短観は賃貸住宅市場動向をモニターするものとなっていますが、全体的には借り手の立場が強くなっている、つまり「借り手市場化」が進んでいるとの印象だそうです。確かに、賃貸用物件を含めた空き家率の上昇など供給過剰が指摘されており、同協会は外国人のような引き合いの強い需要層に対応した「外国人の入居円滑化ガイドライン」を作成し普及に努めています。当機構にも、度々外国の方々からの相談があり、このような活動は歓迎できるところです。

また、同短観では、礼金、敷金、保証金の平均月数が全国的に低下する一方(ゼロゼロ物件が増えてきた。)、家賃保証会社を利用する管理会社の割合が大幅に上昇していることが指摘されています。首都圏でも2012年下期90%の利用率が2013年上期に98%に、関西圏では94%が100%に上昇し、賃借人に加入を必須とする会社も60%となっています。アンケート回答企業に限った調査ですから完全ではありませんが、賃貸住宅市場において家賃保証会社の利用が急速に進んでいることは間違いないでしょう。各種報道でも、家賃保証会社の増加、保証会社の立ち上げ支援会社の登場などが伝えられています。

例えば中小企業金融の世界でも、会社の信用力補完、債権保全等の観点から、融資を受けるに当たって第三者による個人保証を提供することが多く見られましたが、主たる債務者が返済できない場合には保証人に対して巨額の代位弁済請求がありうることから、政府は金融機関に対して経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とした監督指針改正を行うなど、個人の連帯保証責任の軽減に舵を切っています。金融機関が返済に問題ないと判断すれば連帯保証なしの融資を行うわけですが、その判断がつかないような中小企業の場合は、信用保証協会法に基づいて各都道府県に設けられた信用保証協会が一定の審査をした上で債務保証に応じる仕組みがあり、景気に左右されながらも多くの中小企業が利用しています。

家主は住宅の貸し手であり、賃借人の信用情報を把握したり別の担保をとることができない以上、連帯保証人を求めるのは理解でき、中小企業金融のように個人の連帯保証を制限するのは難しいでしょうが、個人が安易に連帯保証に応じれば、賃借人の債務不履行があった場合に不測の代位弁済を求められるのは中小企業金融の場合と変わりありません。

現在の民法改正論議の中でも、保証債務に上限(根保証の極度額)を設けたらどうか、賃貸人に保証人への説明義務や通知義務を課し連帯保証人の保護を図るべきではないかという意見が多く出されています。

また、個人の側でも連帯保証人になることを敬遠する動きは高まり(当機構にも連帯保証人になったがその保証契約を打ち切りたいという相談が多くあります。)、社会的にも高齢化、核家族化、個人志向等を背景に、従来のような連帯保証人をつけられない賃借人も増えてきました。つまり、現在の賃貸住宅市場は、もはや個人による連帯保証に頼ることができず、信用保証協会ほど大規模でないにしても、何らかの機関保証を必要としている、現在見られる家賃保証会社利用の急増はそのことを示唆していると言えるのではないでしょうか。

現在、賃借人の家賃等を保証する事業には何らの規制もかからず、過去、家賃保証会社による強引な求償が問題になったこともあります。そこで、同協会は、家賃保証業務の適正化を目指して、協会内に有志の会員からなる家賃債務保証事業者協議会を設立し、特に業者による行きすぎた求償行為等を規制する自主ルール(例えば、家賃保証委託契約の申込者に対し契約の内容を十分理解させること、契約者への求償権行使に当たり平穏な生活を侵害する行為を行わないこと等が規定されています。)を設けその普及に努める一方、家賃債務保証に関する実態調査を行いました。

この調査結果においては、(1)回答企業の45%が2006から2010年の間に保証事業を開始、15%が2011年以降に開始している、(2)営業利益率は総じて高い、(3)保証範囲は家賃以外にも残置物撤去費用、明け渡し訴訟費用、強制執行費用、原状回復費用と広く及ぶ、(4)約半数が保証限度額を24か月以上としている、(5)賃貸人・管理会社の変更、賃貸借契約上のトラブルが多い、(6)30%程度が保証委託契約締結に当たって連帯保証人を徴求している、(7)60%が自主ルール導入によりトラブルが減少したと回答しています。

研究会での議論では、(1)賃借人が保証会社と保証委託契約を結ぶ際の重要事項説明が十分でなく賃借人側の理解が不足しているのではないか、(2)いまだ酷い取り立て行為が見られるのではないか、(3)家賃保証会社破たんの際の貸主・借主双方のリスクが高いのではないか、(4)保証会社が代位弁済した後に賃借人から賃貸人に延滞賃料が振り込まれるケースがあるなど決済が複雑にならないか、(5)貸主が家賃保証会社利用を義務付ける一方で自然人である連帯保証人も求めるのは行き過ぎではないかといった意見が出されました。

家賃保証会社は、賃借人の財務内容を審査できない賃貸人、個人の連帯保証をつけられない賃借人、双方の社会的事情を背景に現れてきたものであり、一律に禁止するわけにはいきませんし、信用保証協会のような公的な保証機関を作るのも困難でしょう(信用保証協会の場合は、主たる債務者の倒産等により回収不能となった損失をカバーするため別の公的機関に再保険をかけ損失を穴埋めします。仮に再保険原資が枯渇した場合は税金投入があり得ます。)。このため、民間主導で登場した家賃保証会社について、少なくともその参入規制(財産規制や行為規制)を早期に整備し、財産的基盤の脆弱な業者、悪質な業者を排除しながら健全な業界を育成していく時期にあるのではないでしょうか。

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2014年10月5日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:不動産トレンド

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